映画ルーム 感想
満員の渋谷の映画館にて鑑賞。
「部屋」で、母親と少年ジャックが暮らしている。食事をし、テレビを観て、遊んで、眠る・・観ている分には当たり前の日常が続いていくのだが、段々と(「部屋」からカメラが移動せずに、常にキャラクターのをアップで追い続ける映像に)息苦しさを覚え、場面が変わらない事の違和感、交わす会話の違和感などに、徐々に僕も気が付いてくる。満員で真っ暗で(若干異臭もする)映画館だと、まるで自分もその部屋にいるのではないかという感覚さえ覚えた。
日曜日の配給と謎の男・・話が展開していくに従い、ここが男に監禁されている(ジャックなど一度も外の世界を知らない)「部屋」だという事に気がつく。物語の前半は、そこからのジャックの脱出劇がひとつのハイライトとなる。しかし、「部屋」自体は陰気な牢獄のようでなく、少年の絵がはられ、ジャックは部屋の家具ひとつひとつに挨拶をし、部屋という世界を愛している。
以下ネタバレ(文字色反転しております)
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後半は、脱出後にパトカー、病院、そして祖父母の家へ行ってからの話。ゼログラヴィティで、地球に帰還した「後」を描いてしまったような、印象的なアフターストーリー。
これまで、壁の内と外、ホンモノとテレビの世界の差異さえ知らなかったジャックの、急に「世界」を知る事になった描写。現実へと戻り幸せの筈が、混乱をしてしまう母親。簡単にはハッピーエンドとできない入り組んだ人間模様。その中で新たな愛情がうまれるドラマ。ヘタに盛り上げる描写が皆無のこの作品の中で、「世界」を受け入れる二人を描く、この「ルーム」という映画の不思議な結末。
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映画 ズートピア 感想
渋谷でターンテーブルマットを買ったりゴーゴーカレーを食べたりした後、二子玉川へいって、(朝にネットでチケットを買おうとしたら、もう最前列しか残っていなかった)、ディズニー新作「ズートピア」の字幕版を観に行った。ディズニーアニメーションを映画館へ行って観に行ったのは、もしかしたら生まれて初めての経験だったかもしれない。
肉食動物と草食動物が共存できるようになった世界。冒頭からその説明を演劇の発表会で説明するんだけど、そこでの肉食動物に食われる演技がギョッとするような演出をウサギちゃんがして、あれこれディズニーアニメだよねと・・。
ウサギの女の子のジュディが前例を裏返して警官試験に受かり、地方から都会ズートピアへ。しかし当てがわれた仕事がキップ切りで、親切もあだになったり、夢見た都会・社会人生活と程遠い現実にため息をついて、(隣人の声も筒抜けな)薄暗いアパートで、チープなレトフトの晩御飯を食べてる最中に、両親から電話がかかってこられたりという、万国共通の社会人初日の都会生活の有様は、いろいろ分かるなぁーの連続。あれ、いま見てるのディズ(ry
草食動物への偏見と数という優勢、肉食動物への恐怖からの差別。現代の人種や移民問題なども含めて、万人が楽しめる娯楽作として超一級としてまとめ上げた中に、小道具だけじゃなく感覚としてiPhoneなどが登場するのはうまいし、これまでのディズニーのイメージでは、もっと世界の善悪は分かりやすいものだったのに、この映画では本当に現実世界のように、善と悪の差異が不明瞭で、それがとてもリアル。また冒頭の小芝居から、結末のあのシーンまで、「暴力」もギリギリの線で描かれたのも含めて・・・もう20年前のイメージのディズニーとは、いい意味で全然違うスタンスで作品をつくってるんだな。
僕はディズニー作品で好きなのは「きつねと猟犬」「ブラザーベア」などの「動物もの」だから、久し振りに動物もののディズニー作品を観られた。
しかし、いやでも連想する作品が、「南部の唄」なのはしょうがないのかな・・。(人種問題トラブルによって観ることが出来ない幻の作品。アニメーション部分の主人公は確かうさぎどん。)
ここまでレベルの高い娯楽寓話が、当たり前のように新作映画としてつくられるアメリカという国は、本当なんなんだ。近年のアメリカアニメ作品だと、個人的にインサイドヘッドに匹敵する傑作だった。
追伸:ナマケモノのシーンは劇場でも大受けだった。
追伸:ナマケモノのシーンは劇場でも大受けだった。