水曜日, 10月 13, 2010

Sufjan Stevens: The Age of Adz 裸のスフィアン。




  新作はSufjan Stevens史上もっともヒリヒリする作品。自己と向き合い続けてしまった結果、恋人への小さな感情が悲惨の膨張し、死に向かってさえいてそこに寄り添う音楽もバンバンはじけまくる。前作インストのBQEは個人的にスティービーワンダーの「シークレットライフ」と被る。

BQE時のスフィアンでは「僕にはもうアルバムや曲に対する信念もない」という発言をした。BQE自体が強烈に膨張したポップの狂気であったように思える。アメリカの車社会という映画と自己を重ねたような。

そして新作The Age of Adzは、アメリカ社会や文化や宗教などの対比するものがないぶん、スフィアン自身がその音楽に対して裸になった。彼に対してはBrian WilsonやTodd Rundgrenにある危険なポップの闇と同じものを感じる。彼の膨張する天才的な音世界が、パーンと破裂して終わってしまわないで、彼なりに緩やかに別の形に膨らましてほしいなと思う。


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音作りに関してはもうスフィアンの集大成になってると思う。イリノイ期の変拍子などはなくなったけれど、シンセとコーラスと小楽団が「完成されたごった煮」となった。今後も彼の音作りのスタンダードになるんじゃないかな。

歪んだ男のラブソングから次第に宇宙と神についての歌詞と、ブックレットにある色んなロバートソンの絵も、どこかブッ飛んでる。黒人看板画家の故ロイアル・ロバートソンの世界が本当に今作のスフィアンとぴったし合う。

8曲目のVesuviusでは、ついに自分の名前を歌詞につかってる・・歌詞の中で彼は自分に、小道に進め(差し迫った死についての記事にたどり着く)、炎や心に従え(床に転がらせ)と命じ、殺人鬼の幻によるパニックを見せる。



(アマゾンにも同内容のレビューを掲載しました)

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