金曜日, 6月 11, 2010

Last Flowers - Radiohead / 映画 『告白』感想。



すぐに感想を書きたかったけれども、また数日時間が空いてしまった。

この映画を見に行ったきっかけは、劇中歌にRadiohead,The XX,やくしまるえつこがつかわれていたから。

中島哲也監督(と諸作品)についても、 湊かなえの原作についても、事前知識ほぼなし。


Last Flowers - Radiohead Music Video

(以下ネタばれあり)。


松たか子主演作「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」を見に行った友達と一緒に観賞。
(誕生日のこと、すっかり忘れてた。ごめん!)



このサイトがなくなっちゃった・・・。(今→Hostess Entertainment - MySpace
RT @myspacecinemajp: 本日公開、映画『告白』からレディオヘッド、やくしまるえつこらが参加した豪華サントラが視聴可能!レディへ、幻の名曲「ラスト・フラワーズ」が聞けます よ!http://bit.ly/9YKfiD

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Web が充実。(戦略うまいなぁ。)

映画『告白』公式サイト
『告白』原作冒頭全文
映画『告白』公式"裏"サイト



 
Boris with Michio Kurihara - Rainbow


Boris、ゆらゆら帝国以来の衝撃かもしれない。どうしよう・・


(本編感想)

まず冒頭。

市立S中学校、1年B組。3学期の終業式の日、松たか子演じる、担任・森口悠子は生徒たちに、間もなく自分が教師を辞めることを告げ、娘が自分の生徒2人に殺された『告白』をする。

その描写がとんでもない。先生の話をしーんと聞いているのがふつうなのだろうが、生徒たちは好き勝手に騒いでいる。というよりも、それぞれ既に教室という世界にいない。ばらばらの世界に住んでいる。その混沌な教室という世界への描写に驚いた。

ツイッターで、映画『告白』は日本映画で初の全編音楽PVだとつぶやいている人がいて、僕もずっとそのことが頭の中に残っていた。だから、告白中も、生徒たちはざわめきつづけ、それぞれの携帯電話の小宇宙にいて、映画背景音楽も延々流れつづける。

犯人生徒AとBについて少しづつ真相を話す先生に対し、生徒は「真相キターー!」というデコメを送信しはしゃぐ。自分とは関係のない世界の「祭り」をメールで煽っている。その一方でちゃんと先生の話を聞いている学生までいる。

この映画は、簡単にいえば、ちゃらちゃら友達と騒ぐ「リア充」が中心となる学園ドラマなどへの強烈な悪意が込められた作品。そして、「リア充」という単語を使って陰で罵倒する、名無しの群衆、「AKB48」(アニメなどにすりかえたっていい)という偶像にいつづける厨二病者たちへのアンチテーゼでもある。

スローモーション。CG。音楽。それらの多用がPV的なのかもしれない。そしてこの監督独特の演出方法なのだろうか。(もっとすっきり描いてたほうが個人的に好き。)歌のある印象的な曲が、回きり流すのが一般的だが、この映画はなぜか「2回ずつ」つかわれている。


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ふつうのクラス。そのための過剰なふつうという狂気。最近見た『アメリカン・ビューティ』と何かつながる。米コロラド州コロンバイン高校の銃乱射事件を淡々と一般学生の日常目線から写した『エレファント』とも・・・・。



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新任教師の「ウェルテル」こと寺田良輝が、前任者とはま逆の熱血さわやか教師。彼は教育の信念として、新約聖書のマタイ伝から、99匹と1匹の羊の話をする。その話のさなか、学生たちはまるでウェルテルを救世主かのように過剰に褒め、熱狂する。事件から目をそむこうとする余りのそのぞっとする虚像感。

でもなんで日本で聖書を引き合いにだすと、極端な表現ばかりになっちゃうんだろう。羊の話は、てきとうにぐぐっていたらみつけた牧師の解説ージ(携帯メールをつかった中高生のいじめを例にしてる・・!)がわかりやすい。

本当に強い家畜を作るためには、雑菌だらけの環境で、自然淘汰に身をさらすことが必要だという話を聞いたことがありますが、これは人間の身体に関しても、そしてもちろん精神においても言えることではないかと感じます。自分とは異質な存在を認め、その異質な存在とさまざまな予想を超えるぶつかり合いを経験することで、こころの免疫を鍛えることが、他者への寛容を生むのではないでしょうか。
メッセージ「99匹の病める羊たち」

そして、僕はクラスメイトと、ウィルテルの「普通」さの描写が一番怖かった。

そして、殺人者「少年B」。演じている藤原薫が、まだ変声期前である少年であるからこそ、増幅される恐怖と、過剰な「少年」性、こどものせかい、それが歪んでしまうとここまで恐ろしいのかと、彼の演技に感服。最後、母親を殺す前の、子供向けアニメのようなふざけた効果音と音楽の演出がにくい。

この映画には、憎しみと復讐しかないのだろうか。原作者はほかの作品で「贖罪」という本を書いているらしいが、少なくともこの映画では、罪がない存在は、殺された「娘」だけのようだった。

最後の最後の森口の告白で、更生の無意味さを「少年A」に突き付けてあざわらう。(『時計じかけのオレンジ』、なーんて。)でもその直前の「少年A」が、「命」についての作文を全校生徒の前でスピーチをする。(命の大切さを訴えるスピーチだが、当の本人が一番それを下らないと思っている)スピーチ内で、ドストエフスキー『罪と罰』での主人公の老婆殺害の罪を語っているのだ。

頭脳明晰ではあるが貧しい元大学生ラスコーリニコフが、「一つの微細な罪悪は百の善行に償われる」「選ばれた非凡人は、新たな世の中の成長のためなら、社会道徳を踏み外す権利を持つ」という独自の犯罪理論をもとに、金貸しの強欲狡猾な老婆を殺害し、奪った金で世の中のために善行をしようと企てるも、殺害の現場に偶然居合わせたその妹まで殺害してしまう。この思いがけぬ殺人に、ラスコーリニコフの罪の意識が増長し、発狂していく。しかし、ラスコーリニコフよりも惨憺たる生活を送る娼婦ソーニャの家族のためにつくす徹底された自己犠牲の生き方に心をうたれ、最後には自首する。人間回復への強烈な願望を訴えたヒューマニズムが描かれた小説である
罪と罰 - Wikipedi


映画を観終わったあとは、原作の「告白」を読もうかとも思った。でもドストエフスキーを読んだほうが、より、映画「告白」で描けなかった、「更生の無意味さ」が浮かび上がるような、そして「贖罪」とはなんだろうと思い返すことができるんじゃないか(原作以上に原作のことがわかる)、そんな気がする。

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